排尿は生理的現象であり普段は気にはなりませんが、一旦トラブルが起きると日常生活に大きな影響を与えます。
女性では、排尿に直接関係する膀胱と尿道は骨盤の深い部分に位置し、主にハンモック状の“骨盤底筋群”によって所定の位置に保持されています。これらの筋肉群や靭帯が出産時に傷ついたり、加齢により保持する力が弱くなると、尿を蓄え流出をコントロールする機能が低下し、尿漏れが起こります。また閉経後の女性ホルモンの減少も原因と考えられています。
具体的には、「トイレが近い、急に強い尿意を催し間に合わなかった」“切迫性尿失禁”、「くしゃみをしたときや大声で笑ったとき、重いものを持ち上げたときに思わず尿がもれてしまう」“腹圧性尿失禁”などが主なトラブルで、これらの両方を抱えている場合も少なくありません。
切迫性尿失禁や頻尿、尿意切迫感などを合わせた状態が“過活動膀胱”です。排尿のトラブルは日常生活の習慣にも関係します。
長時間の立ち仕事や、重いものを頻回持ち上げるなどが原因となり、排尿を無理に我慢することがないように注意しましょう。また立っている時に骨盤底筋群を鍛える運動を取り入れることも有用です。自己判断で“水分摂取を控える”“何度もトイレにゆく”ことはかえって悪化の原因になりますので注意しましょう。一旦症状を自覚した時は排尿の記録(日誌)をつけて飲水量、排尿回数と量、症状の種類などをチェックして下さい。トラブルの種類に適したケアにより生活の質を改善することが出来ます。一人で悩まないで是非専門医に相談して下さい。
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